犬・猫等のペットを飼う家のお掃除箇所は!?ハウスクリーニングのプロが解説
愛するペットとの共同生活は、日々の喜びを倍増させてくれるもの。その反面、体毛の飛散や各種汚れなど、掃除に関しては頭を悩ませることも少なくありません。
特にペットの健康・安全を最優先に考えると、どのようにして効率的に、そしてペットに優しい方法でキレイに保つかが問題となります。
この記事では、ペットを飼う家庭特有の汚れやニオイの原因となる場所をピックアップ。定期的なお掃除が必要な箇所を具体的に解説していきます。
ペットとの暮らしをより快適にするために、お役立ていただければ幸いです。
執筆時点では10月末と、年末大掃除の時期も近くなっています。今後の大掃除の課題を探すためにお読みいただくのもお勧めです。
前提条件
ペットを飼う家のお掃除をする際には、彼(彼女)らの身体や健康状態・特性を十分に考慮することが重要です。まずは、お掃除においての基本的な前提条件や注意点からご案内します。
できるだけ身体に優しいものを使う
多くのペットは身体がとても小さいため、私たち人間に比べて様々なものの影響を受けやすいです。例えるなら、体重50kgの人間にとっての塩1gと、体重5kgのペットにとっての塩1gは、体重比で10倍も違うのです。
例として塩を挙げましたが、これに限った話ではありません。ですから可能であれば強い薬剤などは使わず、水や、優しい中性洗剤(ヤシノミ洗剤など)・自然素材(重曹など)を優先して使うのが良いでしょう。
ペット由来の汚れはそこまで酷いものはあまりないので、水やヤシノミ洗剤、重曹などで落ちる汚れもたくさんあります。もちろん優しいものであっても、きちんと拭き取り、なるべく残らないようにしましょう。
例えるなら、家に赤ちゃんがいるかのように考えてみてください。そうすれば自ずと使うべきものが分かってくるはずです。
においに気をつける
ペット全般に言えることですが、動物は人間よりも嗅覚が優れていることが多いです。猫は人間の数万倍~数十万倍、犬に至っては嗅覚は人間の数千倍~一億倍以上などとも。
普段の生活で、どのくらいの臭いを感じているか私たちには想像もつきませんよね。
したがって強い薬剤を使わないことと同様、臭いもできるだけしないものでお掃除することが重要です。
私たちが臭いを感じる臭気であれば、ペットにとっては比べものにならない程の強い臭いなのかもしれません。それは同時に、強いストレスになる可能性もあるからです。
食器周りのお掃除
食事は毎日のこと。ペットを飼う家庭では、食器周りの清潔さは特に重要です。健康を守るためにも、日常的なお掃除が欠かせません。
食器本体
ペット用の食器は毎日の使用で汚れがつきやすいので、原則的に毎食後洗うのが基本です(人間の器もそうですよね!?)。
遠出する等の事情がある時でも、少なくとも1日1回は洗うことをおすすめします。
食器は水洗いでも汚れは落ちているように見えますが、ペットフードには一定の油分も含まれます。そのため「ぬるぬる」はとれませんので、ヤシノミ洗剤などの中性洗剤を使用すると良いでしょう。
洗浄後は、十分にすすぎ、しっかりと乾燥させることで、バクテリアの繁殖を防ぐことが可能です。
水飲み容器
ペットの水飲み容器は、清潔な水を提供するためにとても重要です。
水を入れているだけだから容器は水洗いでOK……と考える方も多いかもしれません。しかしながら実際は、ペットフードの油分やペットの唾液・水の中のミネラル等が含まれるため、だんだんぬめりが生じてしまいます。
このぬめりは、バクテリアであり、放置するとペットの健康に影響を及ぼす可能性があります。
というわけでお椀タイプであれば、食器用と一緒に中性洗剤で洗えば良いでしょう。
また、食器にも言えることですが、陶器などの熱に耐える素材の場合、週に1度など定期的に煮沸消毒・熱湯消毒などを行うことをお勧めします。
ウサギやフェレットなどではよく使われる、ボトルタイプの水飲み容器は実際のところ完全に洗うことができません。これは仕方がありませんので、メーカー指定の方法でできるだけメンテナンスしてみてください。
食事場所周辺
食器の周辺には、フードの食べ残しや水滴が散らかりやすいです。この汚れは、ダニやゴキブリなどの害虫の原因となります。さらには、ペットが古いフードを食べてしまったらお腹を壊してしまうかもしれません。
それを避けるためも、定期的に拭き取りや掃除機をかけましょう。
特に水や湿った食べ物がこぼれた場合は、すぐに清掃することで、カビや臭いの発生を予防できます。ほったらかすと床にシミがついてしまうこともありますのでご注意ください。
トイレ周りのお掃除
ペットのトイレの掃除も非常に重要です。ここが不潔だと、ペットの健康に影響するだけでなく、家全体の臭いの原因にもなります。
トイレ本体
猫砂やペット用のトイレシートを使用する場合、長期間使用していると不衛生です。最低でも1日1回は排泄物を取り除いたり、シートを交換してください。
そしてなかなか大変なのですが、定期的にトイレ全体も洗浄しましょう。
水に浸けて時間をおけば大抵の場合は汚れも落ちますが、排泄物には若干の油分もありますので、中性洗剤や重曹などを使っても良いでしょう。
トイレ本体に付随して、付属品(例えば猫砂をすくうスコップ等)も、汚れがこびりつきやすいので併せて綺麗にしておきたいですね。こちらも本体と同様のお掃除方法で大丈夫です。
一時収納ボックス
ペットの排泄物の処理方法は、お住いの自治体により異なるはずです。いずれにしてもごみとして出す場合、一時保存としてストックしておく……という方も多いのではないでしょうか。
当然のことながら、どうしても臭いや汚れがこびりつきますので、定期的に清掃が必要です。
「どうせまたすぐに臭うから」と、後回しにしていると、強い悪臭の元になります。特に容器がプラスチック製の場合は、臭いがしみついてしまい、取れなくなりますのでご注意ください。
寝具のお掃除
寝具はペットが安心して眠れる場所にしてあげる必要があります。しかし、人間のものと同様、体毛や皮脂、汚れがたまりやすいので定期的なお手入れが必要です。
寝具本体
ペットのベッドやクッションは、1週間に1回程度の頻度で掃除機をかけることで、毛やハウスダストを除去しましょう。
もしも洗濯する際は、人間用の洗濯物と一緒に洗ってしまうと、ペットにとって洗剤の臭いがきついことがあります。ですので、
- ペット用の洗剤
- 敏感肌用の洗剤
- 天然素材の洗剤
- 洗剤無し(気になる汚れがない場合)
などがお勧めです。量が少なければ手洗いもありでしょう。
例えば猫の場合、洗ってしまうと自分のにおいがなくなってしまい、あまり好ましく思わないケースもあります。明確な臭いや目に見える汚れが無ければ、天日干しにするだけでも、十分なこともあるかもしれません。
その他の場所
ペットの中でも猫のように、いろいろなところで寝る動物もいます。布団など洗えるものは洗うのが最も簡単ですが、以下の様な洗えないものもあります。
- 椅子
- ソファー
- カーペット
見た目にも汚れているわけでもなければ、日常的なお掃除は、掃除機やコロコロでも充分でしょう。
汚れが酷い場合は、水を使う必要がありますが、素材や何の汚れかにによって最善の対処の方法は変わってきます。
時間がたつと落ちづらいので、汚れが発生したら即座に対処が原則です。
床のお掃除
ペットが歩き回る床は、汚れがたまりやすく、定期的に掃除を行う必要があります。
カーペット
カーペットは、ペットの毛やダニの温床となりやすいので、日常的な掃除機掛けやコロコロは欠かせません。
また、ここで問題になるのが「粗相」や、猫がいるお宅ではおなじみの「吐き戻し」の跡です。
すぐに適切に処置をすれば大抵のものは落せますが、少しでもさぼってしまうとシミとなり跡が残ってしまいます。また、独特の臭いも残ってしまうことも。
まずは水で湿らせ、優しくたたきながら落とすことを試みます。水だけで落ちない場合には、材質に合ったカーペットのしみ取り製品を検討してみてください。
木のフローリング
こちらもカーペットと同様の問題を抱えていますが、木材特有の問題があります。特に吐き戻しは胃酸なども含まれるため、耐水性が無い木にしみこむとなかなか取れません。また、木には溝があるので細かい隙間に入り込むと、取るのが大変です。
木のフローリングの汚れは、木材の種類や塗装により対処法が大きく異なってきますので、細心の注意を払う必要があります。
最も安心なのは、フローリングを施工した会社に聞いてみることです。もしもあなたの家が注文住宅などで、施工会社と繋がりがある場合は、喜んでメンテナンス方法を教えてくれることでしょう。
ワックスなどの加工がしてある場合、洗剤の種類や研磨によってはそれが剥がれてしまい、かえって目立ってしまうことがありますので気をつけてください。目立たないところから試してみるのが原則です。
壁のお掃除
ペットの飼育で壁(壁紙・クロス・塗り壁など)が汚れるか!?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし猫を飼育している場合は特に「あるある」なのです。
壁のすりすり跡
猫はマーキングの一環として、頻繁に頬や身体を壁にすりつけます。このとき分泌される皮脂が壁・クロスに付着し、汚れの原因となるのです。
汚れた部分は、柔らかい布やスポンジを使い、水で軽く濡らした後、やさしく拭き取ります。強くこすると材質によっては痛む可能性があるため、注意してください。
ここでの気の持ちようは、避けられないことだと認識することではないでしょうか。猫を飼っていれば、いくら綺麗にしてもまた汚れます。本能ですから「そういうもの」と考え、決して怒らないであげてくださいね。
壁の吐き戻し跡
通常、猫が吐き戻しをする時は床ですが、豪快なケースでは壁につけてしまうこともあります。壁紙(クロス)の場合は、即座に拭き取ることで、問題は無いでしょう。
ここで問題になるのは塗り壁(土壁・砂壁・しっくい)などです。即座に拭き取りをしないと、跡が残ってしまい、落とすのが難しくなります。
すぐ対処する場合も、塗り壁の種類によって異なります。一例として、ティッシュで広げないように拭き取った後、改めて清潔なティッシュを水で湿らせ、トントンとたたくことで落せることもあります。
素材によりけりですので、お使いの壁にあった対処を行ってください。素材は非常に多く存在するため、大変心苦しいのですが一概に言えないことをご了承ください。
ケージのお掃除
ケージを使用している場合、その清潔さがペットの健康を保つ上で非常に重要な要素にもなり得ます。定期的にお掃
除しましょう。
ケージ内の敷物・マット
ケージ内の敷物やマットは、毛や皮脂汚れがたまりやすいので、定期的に取り替えまたは洗濯をしましょう。また、ケージの隅々まで掃除機をかけることで、毛やほこりを取り除くことができます。
トレー部分
ケージのトレー部分(受け皿部分)は、尿や排泄物で汚れることが多いため、毎日の掃除が必須です。汚れがある場合は、中性洗剤を使用して、しっかりと洗浄しましょう。
また、掃除後は十分に乾燥させることで、バクテリアの繁殖を防ぐことができます。
フレーム部分
通常のお掃除ではフレームは掃除する必要はあまり無いかもしれません。しかしケージ内にトイレを置いている場合、失敗してフレームを汚してしまうことはあります。
また、ホコリが貯まりやすいなど、設置する環境によっての影響もあることでしょう。
ケージの材質にもよりますが、基本はから拭きで、落ちない汚れのみ水を使って落とします。特に木製フレームの場合は水に弱いので注意が必要です。
まとめ
本記事では、ペットを飼う家庭のお掃除の箇所や、簡単にその方法をご案内しました。
ペットとの生活は、その愛らしさと楽しさで私たちの日常を彩ってくれますが、その一方で家の中の清潔さを維持することはかなり大変です。
例えばトイレなど、忙しいと時間をあけてしまいがちなものもあるかもしれません。しかしながら、ペットのQOLを挙げるためには、私たちが努力する必要があります。
家族の一員であるペットのために、がんばりましょう。きっとそれ以上に、多くのものを与えてくれるはずです。
もし出来ていない箇所があれば、この時期でしたら年末大掃除に組み込んでみてはいかがでしょうか。